永らく愛用してきたタミヤ製エアーブラシ 初代スプレーワークHG

↑がメッキ剥げまくりで消耗部品の損耗もキテるので、今回は敢えてオーバーホールせずに、同じ使用用途と目的を絞って新調することにしやした。
以前の投稿の前置き話にて、このエアブラシ話をチョコッと出しておいたのですが、「どのエアブラシを選ぶか」に関して言えば、前投稿の様にパーツの耐久性やアフター以外にも、何を主に製作するのかで選択肢が変わってくるというのが持論です。勿論、虎の子1本で充分と言えばそうなんですが、機構や口径等で得手不得手があるのも事実であり、HowToネタの一環として、今回は私流のエアブラシの選び方を書いてみようと思います。
※以下各項で紹介しているエアブラシの画像には、Amazon商品ページへのリンクが貼ってあります。当ブログの今後のAmazonアソシエイトプログラム参加に向けてのテスト投稿を兼ねておりますのでご了承下さい。
先ず大前提として、長く使うつもりなら、模型メーカーもしくは画材メーカーが出してる製品を選ぶのが無難です。そもそも論として、国内の模型メーカーのエアブラシも画材メーカーのエアブラシも、根っこはアネスト岩田かホルベインの何れかのOEMというのが定説となってます。エアテックスってメーカーもOEM元としてありますが、製品ごとに自社を他社へのOEM元だったり他社を自社でのOEM先だったり国外が絡んでたりと色々ややこしく、今回は敢えて外します。
となると、模型メーカーブランドで出てるエアブラシではタミヤかクレオスって事になるんですが、元の画材メーカー製と全く々物をOEMしてるワケでは無く、模型用にチューンされた物になってる上に、元の画材メーカーブランドの製品より「模型流通に乗ることに依る割引」の恩恵を授かって、良い物が安く買えるのが実情です。その代わり、外観は画材メーカーの元ネタ製品の方がリニューアルされても、模型メーカーのは最初の旧デザイン基調のまま継続販売されるので、やや古くさいデザインのままの物が多いです。
で、私自身が模型メーカーの物を選ぶおおきな理由が、アフターサービス利用時の利便性です。タミヤにしてもGSIクレオスにしても、細かい部品まで請求すると販売してくれますし、オーバーホールの仲介も模型店経由で受け付けてくれます。エアブラシは、メンテしながら大事に使えば10年以上余裕で使える一方で、ノズル・ニードル・パッキン等の消耗部品も多く、いざという時に部品が手に入らないと短命に終わってしまいます。なので、タミヤやクレオスが無難だという考え方になってます。
タミヤ エアブラシシステム スプレーワークHGⅢ

いきなりですが、私はこれを所有しておりません(笑。所有してないのに何故紹介するんだと言われそうですが、私が永らく(20年以上)愛用してきたスプレーワークHGの後継3代目であり、外観は若干の変更が為されましたが、機能面では殆ど変わらない製品で、このⅢが現行品となっています。
先端ノズルが外拡がり形状で塗料だまりの発生を抑えつつ、細吹き字の脈動も発生せず、また全開時の吐出量も程よいので、オールマイティーに使えます。1/12以上のビッグスケールの車のボディーのベタ塗りとかは苦手ですが、それ以外はサフ吹きメタリック吹き迷彩塗装から1/24迄の車のボディー塗装までこなせるので、最初の1本には一番お薦め。エア調節機構等の余計な機構は省かれているので、吐出量の少ないコンプレッサーでもエアのロスも無く、問題無く使えます。



迷彩、白黒立ち上げ、シャドウ入れ、ボディー塗装とエアブラシ塗装の基本的な事は、コレ1本で概ね事足ります。メッキ調塗装のフワッと乗せるような塗装も相性が良いです。カップが脱着式で直付けタイプより掃除が少々面倒な反面、容量の大きいカップに付け替えが出来るので、その点は逆にメリットでもあります。
GSIクレオス LWA05 (PS266)

GSIクレオスのLWA05。口径0.5mmでカップ直付けタイプで、カーモデルのボディー塗装専用として使用。主ジャンルがカーモデルなので、コレも我が家では非常に使用頻度が高いエアブラシです。(暫く品切れしてましたが2025年4月に価格改定で再発とのこと)
何故に2本有るかですが、赤テープを巻いてる方はクリアー塗装専用で、ボディー色用と分けて使ってます。元々は1本だけ持ってましたが、使用頻度が高い事でニードルやノズルの損耗も早かったので、最初のOHの際に買い足しました。1本をクリアー専用にしてあるのは、メタリック粒子や染料等が雑ざって大惨事になる事を避けるのが主な理由。



自動車模型にウレタンクリアーは使わない派の私ですが、0.5mm径でも適正圧を出せるコンプがあるなら、吐出量が多めの性能なので濃いめのウレタンでも吹けます。ラッカーでもデカールの上の一発目の原液に近い濃度のクリアーでも楽に吐出出来るので重宝してます。
また、ボディー色用の方も、透過性の高い原色系やメタリックカラーやパールカラー等のムラが出易い色でも、ノズル径が大きいので広い面積に均一に乗せやすいのでムラが発生しにくいってのも利点ですね。
GSIクレオス WAプラチナ03Ver.2 (PS289)

クレオスの0.3mm径のダブルアクション。エアアップ機構と王冠型ノズルキャップのお陰で、ミリタリー系や戦闘機の塗装の際、薄い塗料を低圧で吹く際に、加減を手許で微調整しやすくダマも出ないので重宝してます。車模型だと、排気管の焼け色表現や窓枠等のはみ出し厳禁な塗装の際に重宝。



グラデーション塗装やコントラストの強い迷彩色、カーモデルのアンダートレイにミッションや排気管が彫刻されてる様なキットのフリーハンド塗り分けなどには、概ねこのブラシを使ってます。カップ一体型なので掃除も楽々です。ただし、ノズルキャップが王冠型なので、うっかりニードル曲げない様に注意。
GSIクレオス FWAプラチナ02(PS270)

迷彩のエッジやバイナルグラフィック等の細吹き用に導入した0.2mm口径のブラシ。細吹き用だとアネスト岩田のHP-BHやタミヤのスーパーファイン0.2も選択肢だったが、どっちもカップサイズが小さい上に蓋の問題があったのでクレオスを選択。水道ホースの先を潰すと水の勢いが増してしまうのと同様に、エア圧が同じだと0.3よりも細吹きがしにくくなるんですが、逆に言うとエア圧低めで細吹きするにはコッチの方が使いやすい。元々大昔にオリンポスの0.2を愛用してたこともあって、この径が自分には丁度良い場合が結構有るので愛用しとります。



0.2と0.3では各々長短所が有るので、ソレを把握してるか否かで要不要も別れるかと思います。↑の2台の車のファイアパターンや雷光パターンの様に小面積内にグラデーション塗装を描き込む時や、マシーネンSAFSの細かい迷彩柄を描き込む場合などは、私には0.2の方が描きやすいのですが、0.3では出来ないわけではなく、むしろ人によってはこの手の描画も0.3の方がやりやすい人も多いかと思います。
当然の如くニードルが超細いのでメンテ時の取り扱いは要注意。現在だと同じクレオスから0.18mm口径の高級品が出てまして、そちらも気になるところですが、このPS270の倍の金額の製品となっておりますので手が出にくいですね。
GSIクレオス LWAトリガータイプ(PS290)

1/12のビッグスケールの車などの大面積ベタ塗りに使いやすい大口径エアブラシ。メーカーは口径を0.5mmと謳ってますが、上で紹介した同じ0.5mmのLWAよりも吐出量が多いブラシです。
ノズル先端が特殊形状になってて、塗料の霧の形状を上下に広げた状態で吹いたり左右に広げて吹いたりを選べます。


ビッグスケールの大面積塗装や、ブラシ運びによる吹きムラが怖いキャンディー塗装には非常に使いやすいブラシですが、前述の通り塗料の吐出量が多いので、塗料を多めに用意しておかないと塗装中に塗料切れを起こす点や、口径がデカいのでコンプレッサーのエア吐出量に余裕が無いとカスカスな吹き加減になってしまう点が注意点でしょうか。あと、ニードル先端部が特殊形状になってて、その影響でニードルが露出してるのでコレも注意点でしょうね。
タミヤ スプレーワークHGトリガー(74510)

本記事の一番最初に挙げたタミヤ初代スプレーワークHGの老朽化により、色々レビュー記事や動画を探し回って最終的に選んだ用途後継のエアブラシがコレ。
雑用途というのはサフェーサーや白・黒・シルバーなどの下塗り、メッキ調をはじめとする金属質感再現塗装、航空機の褪色表現等のグラデーション塗装やシャドウ入れ等、非常に使用頻度が高かったのが今までの初代HGの使い方だったのだけど、このHGトリガーも同様の用途のために初代HGから買い換えました。
今回ボタン式からトリガー式に買い換えたのは、サフや下塗りの場合はダブルアクションである必要が厳密には無いのだけど、シングルアクションでもダブルアクションでも、ボタン式は塗装時間が長くなれば長くなるほど指が疲れるので、それを解消すべくトリガー式を選択。同じ0.3はクレオスのプッシュボタン式のプラチナを持ってて、どうせ買い換えるならトリガーにしてみようというのも選択理由。
昔と違って、ネット通販サイトには玉石混淆で様々なエアブラシが出てて迷う時代になってますが、自分の過去の経験則から
・溶剤に強いテフロン製のニードルパッキンが採用されている物
・ノズル選択式は、過去に一時的に所有してたことは有るんだけど、一見便利に見えて耐久性に難有りな物だったので選びたくない
・バリや未メッキ部分があると塗料やエアの吐出がスムーズじゃ無い場合が有る。
・消耗損耗パーツの入手が容易であること
こうした条件をクリアーしたのが、結果的に初代HGと同じこのタミヤ製に行き着きました。タミヤのHGトリガーはカップ脱着式に、この0.3口径の他に0.5口径、カップ固定式に0.2と0.3口径があり、何れも形状が似てるし定価も同じなので、通販購入時は注意しておかないと欲しい口径と異なる物を選んでしまう危険性が有るので、ポチる前にノズル口径の欄を要確認。
今回は、雑用途用ということで、手持ちのタミヤ製の容量が異なるカップを使い回せる為脱着式を選びましたが、直付けタイプよりメンテに少し手間が掛かります。
定価は18700円と少々高めですが、通販サイトから買えば概ね11000円~12000円で買えるので、そこまで割高感は有りません。
まとめ
折角なので、コレから模型でエアブラシを使おうという方に参考になればと「まとめ」を書いておきます。
自分が模型を始めた頃は、オリンポス製一択みたいな時代でしたが、今はネット通販見てると色々なエアブラシが出てて、どれを選べば良いか迷いますねぇ。実際、今回初代HGが草臥れてしまい、後釜を探すに当たって色々調べたんですが、当たり前ですがどれも良い宣伝文句が並んでたり、メーカー提供の下のプロモ動画だったりして、良い物ばかりで目移りしそうになります。一番良いのは、自分で実際に使ってみる事が出来ると良いんですが、模型店では殆ど不可能かと思います。しかしながら、最近は模型製作スペースのレンタルというビジネスが有り、そうした場所だと色々なエアブラシをお客さん用に用意しているとところも多く、そうしたところで実際に使ってみるのも良いかも知れません。
通販サイトとレビュー記事なんかで見掛けた中で気になったメーカーだと、・アネスト岩田・エアテックス・ホルベインの老舗三羽烏にクレオス・タミヤ・WAVEの模型メーカー、それに加えてGaahleri・エアブラシワークス辺りも気になるブランドですね。
選び方として大事なことは、後々を考えるとダブルアクション(トリガー式含)一択。シングルアクションは安物買いのナントカになること請け合い。
また、特に口径の大きいエアブラシの場合は、コンプレッサーのエア吐出能力によって使い勝手が大きく変わるので、模型用として売られているコンプレッサーを使ってるなら、基本は0.3mmで選択した方が汎用性は高いと思う。
また、外観だけでは判らない差というのも有り、たとばエア吐出口の具合が悪くて吹き出し時に安定した一定量の吐出が出来ない物や、最初は良くても直ぐに各部に隙間が生じてエア漏れや塗料漏れが起きたり、一色塗り終わって掃除して次の色を塗ろうとしたら塗料が出なくなったりするものや、ニードルセンターが微妙にずれてて狙いを微妙に外してしまう物なんかも、粗悪な物の中には実際に有るんですね。私自身も友人知人から、「試しに安価なのつかってみたら、一発目は良かったけど後でエラい目に遭ったわ~」な話を聞いてますし、実際に食らったこともあります。
或る程度の品質を保たれているなら、先述の通り10年単位で使えるシロモノなので、初期投資は多少高くても結果的に安上がりになります。ただ、この点も、先述の通り、消耗部品や補修部品が安定して入手出来る事が大前提なので、価格だけで「高価だから大丈夫だろう」って訳でもないので、ポチる前に情報をよく調べるのがおススメです。
手前ミソですが、今回紹介したクレオスとタミヤのエアブラシは、どれもお薦め出来る製品だと自負してます。クレオスの物は0.2や0.3のプラチナ印だとエアアップ機構というのが付いてて、コレが付いてるのを嫌う人も多いのも事実でして、ここは好みが分かれるところ。そういう事情も含めて、どれか1つとなると、やはり一番目に紹介したタミヤのHGⅢがスタンダードを謳うだけあって、先ず性能的な期待を外すことは無いし入手も容易なのでお薦めしたいと思います。。